生命活動に重要な役割を果たしている「カルノシン合成酵素」

■2016/02/01 生命活動に重要な役割を果たしている「カルノシン合成酵素」
先日、お客様から、最近疲労の原因物質「FF(ファティーグ・ファクター 英語で疲労因子の意)」が発見された事を教えて頂きました。慢性の疲労でお悩みのお客さまで、疲れをとるセラピーに応用できないかとの事でした。さっそく調べてみる事にしました。

「疲労」は休みなく心身を使うことによって生体機能に障害が生じた状態を、「疲労感」は疲労を脳が主観的に定量する感覚を指します。「疲労感」は、報酬や、やり甲斐などでマスクされ易いため、「疲労感」のみで「疲労」を定量しようとすると、様々な問題が生じます。そこで、「疲労」を客観的に測定するために、疲労によって変化する生体のバイオマーカーを発見し、これを利用して疲労を測定する様々な方法が研究されて来ているようです。

疲労因子(FF)は、東京慈恵会医科大学ウイルス学講座の近藤一博教授の以下の研究によって発見されました。

慢性疲労患者における唾液の生物学的評価(2011)
https://www.fuksi-kagk-u.ac.jp/guide/efforts/research/kuratsune/h21-23/pdf/h21-23bun10.pdf

(転載開始)
疲労のシグナル伝達径路
(転載終了)

近藤教授の研究のスタートは、疲労によってマクロファージに潜伏感染しているヘルペスウィルスが再活性化されて唾液の中に出て来る現象に注目して、唾液中のヘルペスウィルスの濃度で疲労の程度を測定する方法を確立しました。その後2008年に、疲労によってどのようにヘルペスウィルスが再活性化されるのかを突き詰める事によって、疲労因子(FF)を発見したのです。さらに2010年には、FFを抑制する因子を検討し、疲労回復因子(FR)も発見しました。

上記の研究報告書では、疲労因子(FF)、疲労回復因子(FR)についてあまり詳しく説明されていないので、以下の記事の方が分かり易いかも知れません。

疲労回復!イミダゾールジペプチド
https://www.hyoei.ac.jp/library/nadeshiko/212.html

(転載開始)
ヒトが活動する場合体のあらゆるところで大量の酸素を消費し、その過程で活性酸素が生じます。この活性酸素こそ疲労の原因物質で、ここから疲労がスタートするのですが、直接的に疲労を引き起こすのは活性酸素が細胞にダメージを与えた際に発生する、「老廃物から誘導されるたんぱく質」である疲労因子FF(ファディーグ・ファクター)だったのです。このFFが蓄積すると「細胞死」を促進させ、免疫力の低下や心臓病・糖尿病などの生活習慣病の原因にもなると考えられています。

一方でそれに応えるように、やや遅れて疲労回復因子FR(ファディーグ・リカバー・ファクター)も発見されました。FRは体内でFFが増加した際に、それに反応するように発生するたんぱく質で、FFによって傷ついた細胞を修復する性質を持っています。このFRが発現する条件は、疲労因子FFが必須なのです。

近年の疲労の研究において、先述のFRの働きを高める物質として最も注目を集めているのがイミダペプチドなのです。このイミダペプチドは渡り鳥の研究から発見されました。1年の間に数万㎞もの距離を飛行する渡り鳥の羽の付け根にはイミダペプチドが豊富に存在することが明らかになっています。他に、マグロなどの回遊魚にも多く含まれますが、大トロなどの腹の部分ではなく、よく動かす必要のある尾の部分に集中して存在しています。
(転載終了)

上記をもとに、疲労の発生から解消までの流れを整理してみると以下のようになります。

(1) 運動・デスクワーク
   ↓
(2) 細胞で大量の細胞を消費
   ↓
(3) 同時に活性酸素が発生
   ↓
(4) 活性酸素が細胞を傷つける
   ↓
(5) 細胞から老廃物が出る
   ↓
(6) 疲労因子(FF)→ 脳に疲労感
   ↓          
(7) 疲労回復因子(FR)← カルノシン(イミダゾールジペプチド)がFRの働きを助ける
   ↓
(8) 細胞を修復

疲労を解消するには、体内の疲労回復因子(FR)を増やせばいい事になりますが、具体的には以下の方法が推奨されています。

(1) 疲労因子FFがないとFRが発現しない事から、無理なく適度にFRを増やすには、柔軟体操やスクワット、軽いジョギングやウォーキングなどの運動をした後に休む。

(2) FRを作り出すのは「イミダゾールジペプチド」というアミノ酸との事ですので、それが豊富に含まれている鳥の胸肉やササミ、マグロやカツオなど赤身の回遊魚を摂取する。

人がイミダゾールジペプチドを摂取すると、分解酵素によって血中で速やかにβ-アラニン、ヒスチジン、l-メチルヒスチジンのアミノ酸に分解されます。その後、組織中に移行して、カルノシン合成酵素によってイミダゾールジペプチド(カルノシン)に再合成されるのです。ここで問題になってくるのは「カルノシン合成酵素」で、イミダゾールジペプチドを摂取すると言うのは、「カルノシン合成酵素」が正常に働いてくれる事が前提になっています。ところが、疲れやすいと言う人を調べてみると、カルノシン合成酵素をコードする遺伝子である「ATPGD1」に強いアレルギーが見られ、どうもカルノシン合成酵素の働きが阻害されているようなのです。カルノシン合成酵素が充分に働いてくれないのでは、いくらイミダゾールジペプチドを摂取しても無駄な事になってしまいます。

どうも、疲労回復の為のセラピーは、この「ATPGD1遺伝子」に焦点を当てて行えば良さそうです。

そこで、ATPGD1遺伝子に結びついたアレルギーにどんなものがあるのか探索してみたところ以下のものが見つかりました。

(1) ATPGD1遺伝子+47個の感情
(2)(Keap1遺伝子+Nrf2遺伝子+FF)+ATPGD1遺伝子
(3)(Keap1遺伝子+Nrf2遺伝子+酸化老廃物)+ATPGD1遺伝子

(1) のアレルギーが、最もカルノシン合成酵素の働きを阻害するアレルギーと思われます。
(2) (3) のアレルギーは、抗酸化機能を担う (Keap1-Nrf2)制御システム と組み合わさったものです。
(2) のアレルギーは、抗酸化ストレスのセンサーである Keap1 が、疲労因子(FF)を感知して、ATPGD1遺伝子の働きを促進すべきところが、逆に阻害してしまい、慢性的な疲労を引き起こす方向に作用すると考えられます。
(3) のアレルギーでは、同じく Keap1 が、網膜に蓄積するドルーゼンや、脳に蓄積するアミロイドβ、TDP-43 などの老廃物も感知して、ATPGD1遺伝子の働きを促進すべきところが、逆に阻害してしまい、それらの老廃物の蓄積を促進する方向に作用すると考えられます。

抗疲労機能と抗酸化機能とは切っても切れない関係にあるようですが、イミダゾールジペプチドは、その両方を兼ね備える物質としてユニークな存在のようです。イミダゾールペプチドは、動物の体内のみで作られるアミノ酸で、カルノシン、アンセリン、バレニンの3つの種類ががあるようです。人の場合は、ほとんど「カルノシン」だそうですが、鳥や魚などは「アンセリン」が中心のようです。高度な知的活動をする人間の脳や、渡り鳥、或いは大海を高速で遊泳する大型回遊魚の筋肉というエネルギー消費量が大きく、いわば驚異的な運動をする組織の生命活動を支えているもののようです。

このような意味でも、「ATPGD1遺伝子」に結びついたアレルギーの減感作は非常に重要と言えそうです。



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